カロテノイドとは、緑黄色野菜の赤や黄色のもとになっている色素の総称です。
自然界には600種類以上のカロテノイドが存在し、食べ物に含まれているカロテノイドは約40~50種類。そのうち人間の体内に蓄積されるものは十数種類です。中でも代表的なのものが
ベータカロテン、アルファカロテン、クリプトキサンチン
などプロビタミンA(体内で必要時にビタミンAに変換される前駆体)のグループと、
リコピン、ルテイン、ゼアキサンチン
などそれ以外のグループです。
カロテノイドは、その種類によって体内に貯えられる場所が決まっていて、それぞれの場所で抗酸化作用を発揮します。
ルテインは、強い抗酸化作用を持つカロテノイドの一種で、ほうれん草やブロッコリーなどの緑黄色野菜に多く含まれる成分です。 人間の体内器官や皮膚にも存在し、乳房や子宮頚部に多く存在することが知られています。
特に眼の水晶体と黄斑部に存在するカロテノイドはルテインとゼアキサンチンだけなので、これらの部位が正常に機能するためには、必要不可欠な栄養素です。
ルテインとゼアキサンチンは、よく似た性質を持っています。
ルテインのあるところには、わずか数パーセントのゼアキサンチンが存在することがわかっています。
ここ数年で白内障、緑内障、黄斑変性症が急増しています。中高年になれば誰でも罹る恐れがある「目の成人病」です。
これらの病気の主原因は、活性酸素による酸化現象です。
急増の影には食事の欧米化や、テレビ・パソコンなどの光刺激が影響していると考えられています。
加齢性黄斑変性症(AMD)
1987年には患者数7500人でしたが、 93年には14,400人、6年間で約2倍に。網膜に含まれる脂質の酸化がきっかけとなって、組織内に新しい血管が異常発生し、黄斑部に進出して障害を引き起こすことが原因とされています。
老人性白内障
水晶体の透明性が失われて濁る白内障は、水晶体の成分であるたんぱく質が活性酸素によって酸化し、変化することから始まります。
緑内障
眼球内に流れる房水という水分が過剰になり、眼圧が高くなることで起こります。眼球の組織が活性酸素によって傷つけられ、代謝が悪化してしまうことが一因と考えられています。
ルテインは遮光および抗酸化によって、「光防御における二重ブロック」を行っています。
ルテインは、光を遮る役割を持っています。
また、光の一部が細胞に達してしまい、細胞が光による酸化ダメージを受ける危険性が生じた場合、抗酸化作用によってこれを防止します。
さらに青色光を吸収する性質も持っています。
害がある光線としては、紫外線が有名ですが、青色光 は光線の中で最も高いエネルギーを持つもので、細胞に与えるダメージも強力です。紫外線は太陽から照射されますが、青い光は人工の光(蛍光灯、スマホ、パソコン、テレビなど)に多く含まれています。
米での研究では、眼病予防のルテインの推奨摂取量は1日6mgとされています。
これは、ホウレンソウ60g(約3分の1束)の含有量に相当します。
眼病改善例では1日12~15mgの摂取でよい結果が出ていると報告されています。
またこれまでの研究で、摂取量が1日40mgまでは副作用がないことがわかっています。